アルギニン(arginine)は、天然に存在するアミノ酸の一種です。
普通の生活をしているとなかなか耳にすることのない名前かもしれませんが、
市販のスポーツドリンクの成分表などをチェックすれば、アルギニンの名前を見つけることができます。
そのため普段から運動をする習慣のある人にとっては非常に馴染みのある成分だといえるでしょう。
運動をする人、特に激しい運動が日常的なアスリートにとっては重要な成分です。
成長ホルモンは幼少期であれば24時間常に分泌されていて、次々に新しい細胞を作り育てる働きをしています。
子供が何時間でもかけっこして遊んでいられるのはそのためです。
しかし大人になると成長ホルモンの分泌は減少し、睡眠中にしか分泌されなくなってしまいます。
成長ホルモンの分泌を促すアルギニンによって、成長ホルモンの分泌量の減少をカバーすることができるわけです。
・疲労回復
・筋肉トレーニング後の筋肉の増大
・肌や粘膜の生成を助ける（美肌効果・免疫力向上）
・髪の育毛・発毛効果、抜け毛の防止
アルギニンには全身の細胞を活性化させ、血行を促進する効果があります。
脳に流れ込む血流量が増えれば、判断力上昇、記憶力向上、アルツハイマー予防につながり、
全身の毛細血管に血が回れば、冷え性改善、美肌効果、ダイエット効果などが期待できます。
血行を良くして基礎体温を上げることも直接免疫力上昇につながりますが、
それだけでなく、アルギニンには白血球を増やす効果があります。
これにより最近やウィルスに対する免疫力の向上が期待できます。
アルギニンは精液の成分にもなります。
そのためアルギニンの不足は精力不振の原因になる場合があります。
体内でたんぱく質を代謝する際にアンモニアが発生します。
これは人体にとって毒物であるために尿素に分解されるのですが、アルギニンはその分解を促進する働きがあります。
前項で述べたように、成長ホルモンの分泌を促進させるアルギニンには様々な効果が期待できます。
その中でも特に注目を浴びているのは育毛・発毛効果です。
アルギニンによる成長ホルモンの増加で細胞が活性化し、
さらに血行が良くなることにより毛細血管への栄養供給がスムーズになります。
これらの効果により毛髪の成長が促されるため、大きな発毛・育毛効果が期待できます。
脱毛の抑止効果もあるといえるでしょう。
また血行を促進するアルギニンは他の育毛サプリメントとの相性も良好です。
一般的には育毛サプリメントと言えば、亜鉛やノコギリヤシが注目されていますが、
これらの育毛成分が頭皮の細胞の先々まで届くためには毛細血管の血流が重要になります。
アルギニンによって血流が向上していれば、当然これらの成分の効果も高まることになり、
発毛・育毛に大きな助けとなるでしょう。
アルギニンを含む食品は多く存在します。
代表的なものでは豆類、肉（特に鶏肉）、牛乳、魚、エビなどです。
特に豆類にはアルギニンが多く含まれていている上に、豆類は加工されていろんな形で我々の生活に密接しているため、
少し意識するだけで多くのアルギニンを摂取することができるでしょう。
豆腐ならば100gで約500mg、豆乳であれば200mlで約600mgのアルギニンが含まれています。
鶏胸肉100gだと約1,500mg、サンマ1匹で約1,000mg、牛乳200mlで約200mg程度の含有量。
アルギニンの一日の摂取目標は大体3,000mgと言われています。
豆類や肉・魚を中心に食事メニューを組めば、数値的にはそれほどの苦労もなくクリアできるかと思います。
ただしこれは一般的な生活を送っている人の場合。
激しい運動をするアスリートや、すでに毛髪の薄さに悩んでいて改善を考えている人にとっては
一般的な摂取目標量では十分とは言えません。
できれば2〜4倍ぐらいの量を毎日摂取できるように心がけていくとよいでしょう。
ただし、それぐらいの多量のアルギニンを摂取するとなると、毎日の食事だけでは厳しくなります。
その場合は、サプリメントやプロテインを補助的に利用していきましょう。
まずサプリメントの摂取の際に、必ず気にしなければいけないのは過剰摂取による副作用です。
しかしアルギニンに関しては、過剰摂取による副作用は特に報告されていません。
1日に何万mgも異常な量を摂取するのはさすがに考えものですが、
とりあえず過剰摂取の心配に気を遣う必要はないと言えるでしょう。
そして大事になるのは、摂取のタイミング。
アルギニンはアミノ酸の一種です。
つまりたんぱく質のひとつですので、運動後や、就寝前となる夕食時がベストのタイミングと言えます。
人間の体は、運動をして筋組織が破壊された後成長ホルモンの分泌が活発になります。
また、22時〜2時の睡眠のゴールデンタイムと呼ばれる時間も成長ホルモンの分泌が活発な時間帯です。
そのタイミングに、成長ホルモンの分泌を促すアルギニンを摂取することが、一番効率が良いでしょう。
また、アルギニン摂取の際にはほかの栄養素のことも意識しましょう。
アミノ酸は1種だけを多量に摂取しても、効果が薄くなってしまいます。
いろんなアミノをバランスよく摂取して初めて、アルギニンも効率の良い働きを見せてくれます。
また、たんぱく質の分解を促す機能を持っているビタミンB6も十分に採りたいところです。
アミノ酸バランスが良い鶏卵や、ビタミンB6を多く含むにんにく・魚類・牛肉などを一緒に食べると良いでしょう。
摂取タイミングと一緒に摂取する食品を考えて、少しでも効率的にアルギニンを活用していきましょう。
